2018年03月24日

木と80年代美術の異端児

西脇市岡之山美術館は1980年代に開館して今日に至っています。横尾忠則の当時の作品世界にあわせて建築家磯崎新が設計した極めて個性的な美術館です。
当館客員キュレーターを務めている筆者は、神戸芸術工科大学でミュージアムやイメージのことを専門にしていますが、この場をおかりして、美術館と美術の力、1980年代の美術のポストモダンの季節にスタートした当美術館と建築の面白さなどを、ご紹介します。
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 「アトリエの夢―かじ・おっと・みよし展」は3月25日(日)が最終日です。日本の80年代美術の異端児であり、独創的な幻視と幻想、風刺と諧謔にあふれた世界を追求した、かじさんこと東山嘉事の作品世界を知る貴重な機会となりました。かじさんと最も親しく交流したおっとは、かじさんのアトリエのさまとかじさんの肖像を3Dの立体写真で捉え、自らもみてふれ、身につけ、着て遊べる、とてもファッショナブルで自由奔放な木によるマジカルな造形をてがけています。西脇と神戸界隈の風景のエッセンスを木とダンボールによるインスタレーション形式で発表したみよしさん、現代美術家の宮崎みよしは、これまでの雲と空の木彫の幻の代表作とともに新作に挑みました。彫刻を手がけてきた作家らしく、とめどもなくなされるドローイングの触覚的な悦楽の庭園感覚が愉しめます。

80年代美術以降の木と空間をめぐる現代美術の試みのなかで、彼ら三人の軌跡は、日本美術の流れのなかで絶えることなく脈々と続く、木をめぐるさまざまな関心と感受性を正統に現代に継承・発展させたと考えました。木喰や円空などの木による作仏の系譜と現代の彼らの作品の特質にはも近しいものが発見できます。木をめぐる造形はしばしば作者が刻むもの以上のことを示したり、ほのめかしたり、語っています。樹木や木の生命へのアーティストらしいそれぞれの傾倒ぶりを比べてみるのは、とても面白いと思います。お花見の季節に、ぜひ木をめぐるアニミズム的なイメージ感覚、木と人と美術の思いがけない出会いを楽しんでみませんか。

次回は西脇の風景の魅力の一端について考えてみます。


山﨑 均(西脇市岡之山美術館客員キュレーター、神戸芸術工科大学教授、イメージ論)
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2018年03月16日

「アトリエの夢」-みよし編

12月からスタートした企画展「アトリエの夢-かじ・おっと・みよし」展も早いもので残すところ約1週間となりました。
今回は第3室に展示している宮崎みよしさんをご紹介。
宮崎さんは、神戸を拠点に活躍する現代美術家です。
現在は、作家活動と並行して、神戸元町にあるギャラリー・カフェ「プラネット EartH」の代表としても活動されており、美術、文学、音楽など、ジャンルを超えて様々なアーティストを支援しています。
かじさんとの出会いは、六甲山のアートイベント。かじさんのアトリエへ遊びに行ったり、プラネットEartHで個展をしてもらうなど深く交流しました。
今回、宮崎さんには、木彫とダンボールを組み合わせて自然や宇宙をイメージしたインスタレーション作品をご出品いただきました。
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四方の壁だけでなく床にも段ボールが敷き詰められていて、土足で自由に歩いてOK!
ぬくもりを感じるアースカラーの色彩と、段ボールの柔らかい感触が足元から伝わり、まるで自分自身が大地の一部になっているよう。
今回、80年代の貴重な雲のレーリーフ作品もご出品いただいていて、木という固い素材を柔らかく表現した造形感覚にお客様にも「面白い!」と喜んでいただいています。宮崎さんの高い木彫技術が伝わりますね。
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展示室に入ると目に飛び込む大きな紙の作品は、床に紙を置き、コンテと鉛筆で表面の木目を模様として写し取ったフロッタ-ジュの作品です。以前展示をされた会場の床の木目に面白さを感じ、それを作品にしようと試みたもので宮崎さんの遊び心とともに、自然の生み出す美しさと偉大さが感じられます。
木彫と、段ボールを組み合わせるパイオニア宮崎みよしさんの作品を是非御高覧下さい。

「30歳の頃、神戸っ子の私はぶらぶら街を歩いていた時にふと地表の有り様に面白さを感じました。当時も神戸は坂ばかりの地形にへばりつくように家並があり、そしてまた一方には水を湛えてできる海岸線がありました。
小学生の頃、理科の時間に我々が住んでいるのは地球という名前の星の表層部つまり地殻の表面であり、また地球は宇宙という大空間を構成している小さな星でしかないということを学んだ気がします。
また、その小さな星を巡って色々ストーリーがあると、偉い先生方はミクロあるいはマクロ的に述べられています。
しかし学術的に無知なみよし的観察では、地球のストーリーを変幻自在に語っている魔物の一人に「水」があり、地表を境界面として外側と内側が互いに引張っこして形を成しているような気がします。
しかしそこに人間が介入出来、形を成し得ているのは微々たるモノでしかない!というのが自論です、その薄くて、不安定で不透明な地表に立って眺めて描いたのが、みよしの風景画です。
雄大な自然の風景を成しているシーンを全く人工的でチッポケに表現しているキッチュさは、大自然への崇高さと人間への警告と同時に偉大さと勇気と努力でもあります。」(宮崎みよし)


3月25日(日)まで開催。
会期終了まで残りわずかとなりましたが、まだまだ間にあいます!
ご来館お待ちしております。(み)

会  期  ~3月25日(日)
会  場  西脇市岡之山美術館
開館時間  午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休 館 日  月曜日(祝日の場合は翌日)と祝日の翌日
入 館 料  大人 310円( 260円)
      高大生 210円( 160円)
      小中生 110円(80円)
      ※()内20名以上の団体割引料金
      ※障がい者割引有
      ※ココロンカード利用可
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2018年03月09日

アトリエ個展シリーズVOL.4「山田耕造」展開催中です!

ただいま岡之山美術館アトリエでは山田耕造さんの個展を開催しております。
山田耕造さんは、大阪芸術大学在学中より発掘現場の遺構跡をモチーフに油彩で平面構成的な抽象作品「時の跡」シリーズなどを描いていましたが、1998年から2年間兵庫教育大学大学院でアクリル技法の研究をする中で、様々な技法を試した抽象表現の作品を制作するようになります。次第に抽象から具象的な作風へと変化し、それまでは技法ごとに限定していた様々な表現を、組み合わせて作品化するようになりました。
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白線がひかれた地面に、揺らぐ木漏れ日、飛行機の影、思い思いに遊ぶ子ども達等、描かれているのは日常の風景。
山田さんは作品について「木漏れ日の中にいるとき風がそよぎ、木々が揺れて影が揺れる、地面に映った光と影が揺れ、地と図の関係があいまいになる瞬間があります。見ている物とは別の時空にいるような感覚があります。感覚を表現しようとした作品と、その状況を説明している作品、それを利用して別の主張を込めた作品というような展開になっています。」と語っています。
時間とともに変化する影に注目し、日常にある幻想的な世界を描き出す山田耕造さんの作品を是非、御高覧ください。



●作品数:13点(アクリル絵画作品)
●会期:平成30年3月6日(火)~25日(日)
●開館:午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
※最終日は午後3時まで
●休館:3月12日(月)、19日(月)、22日(木)、
※アトリエは入館無料
posted by おかのやまへそ at 16:05| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする