今晩は、新月。晴れたら、夜空の星座を見つけるには絶好の日和になります。
「星とアート」展に出品されている勝俣隆さんのドローイングに描かれたイメージ、オリオン座の像容の再検討、日本神話のグラフィカルな感覚を裸眼で味わうことができるまたとない機会となっています。

「星とアート」展2019 勝俣隆作品会場風景(第一室) 星を結んで、何かに見立てる星座のかたちは、時をこえて伝承されています。先人たちの想像力の結晶として親しまれる星座をテーマに、自由な発想と見立てによって、オリオン座は、スマートフォン座にしてみても面白そうです。
《白澤 獏図》2019年
《獏・白澤図 2019 星とアート展に寄せて》2019年
この図は、電柱のない田んぼのまん中で、ぐらぐら、ぎらぎらと光るオリオン座を、夢を好物にしてぱくぱく食べる伝説のなかの聖獣、獏(ばく)の楽しそうな顔に見立てたものです。普通、オリオン座は、神話の登場人物の胴体、トルソの部分に見立てられてきました。それを顔にして、オリオン座に向かって左下にある、おおいぬ座のシリウスはもちろん前足、こいぬ座のプロキオンは後ろ足。ふたご座のカストルとポルックスは、ピクピク動くしっぽになりました。天の川をせき止め、ひとまたぎしています。ふたご座流星群のときには、流星が夢みる獏の星座に華やかさを添えます。獏はまた白澤(はくたく)というこれまた異装の神獣の姿とホログラフィックに習合し、重なりあってイメージされてきたことから、どちらでもみえるような重合像の赴きを意識したものです。獏と白澤は、曽我蕭白や北斎が描いたものが知られています。臨場感のある星座のかたちを見ながら、ふっと脳裏に浮かび上がってくる
イメージ脳裏ありさまを、星の「臨像アート」と呼んでいます。その第二弾は、天空の原っぱを駆け巡る白澤と獏の百態や、昴を宝玉にして、オリオン座を龍の面影にした大きめな星座を考えています。
これらの連想は、全て「星とアート」展会場の作品からもらってきたものです。人気の折り紙コーナーの後ろにあるアトリエには星座を作ろうコーナーを「星とアート」展を記念して作りました。色々と好みの星座を創作できます。
皆様も星と遊び、アートに親しんで楽しいひとときを過ごしましょう!
山崎均(西脇市岡之山美術館副館長兼主任キュレーター、神戸芸術工科大学教授、星図絵)
posted by おかのやまへそ at 17:45|
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